左 三四呂人形:はなこさん/右 三四呂人形:春日団らん
三四呂人形は、三島市出身の人形作家、野口三四呂(本名三四郎、明治34年(1901)~昭和12年(1937)が制作した独特の風合いをもつ張り子人形。その素朴な様子は牧歌的とも評されています。三嶋大社には「はなこさん」と「春日団らん」の2作品が所蔵されています。三四呂が若くして没していますので、遺作は多くなく貴重な作品です。
※野口三四呂(三四郎):野口は、鹿児島寿蔵・堀柳女らとともに「甲戌会」を結成し、新しい人形芸術の流れを創った人物です。その作品は海外でも高い評価を得、ルーブル美術館・ベルギー国立博物館にも所蔵されています。昭和11年、第一回人形芸術院展では「水辺興談」が最高の栄誉である「人形芸術院賞」を受賞し名実共に第一人者となりますが、翌年37歳の若さで病没しました。
野口の作家活動に影響を与えたのは、旧制韮山中学時代の美術教師彦坂繁三郎だといわれています。彦坂のもとからは、近藤浩一郎・栗原忠二・柏木俊一・澤田政廣・和田金剛ら、日本を代表する芸術家たちが育ち、一時代を画しました。