明治20年6月5日、明治天皇より御奉納の太刀。明治45年、古社寺保存法により国宝指定を受け、昭和25年、新たに施行された文化財保護法に基づき、重要文化財に指定されています。
作者の宗忠(むねただ)は、備前国福岡一文字派の刀工です。一文字派は備前国福岡(現在の岡山県)において鎌倉初期から隆盛し、茎に「一」の字を刻むことが多いため、その名で呼ばれる刀工の一群です。
この太刀は、流麗な反りに気品が漂う、平安時代末期の風潮を残しています。地鉄は澄んで、「備前もの」特有の淡い映りが立ち、刃文は小丁子文(こちょうじもん)で、初期福岡一文字派の典型的作風を表した優品です。茎(なかご)には細鏨(ほそたがね)で「宗忠」の二字銘が切られています。宗忠の作例のなかで最も優れたものです。