銘:奉納三嶋大明神御寶前/三州高力住長吉作
刀身銘:高力左近大夫平朝臣高長敬白/寛文元年丑年十一月吉日
島原藩主高力高長(三河出身)の奉納となる、長大で重量のある大太刀。高力氏の郷里、三河国高力郷(愛知県幸田町)の刀工、高力長吉が作刀したものです。
高長はこうした大太刀を全国の一の宮・有力神社、ゆかりの深い神社や寺院に、次々に奉納しています。現在は23口の存在が確認されています。数多く打つ必要から、奉納が重なる年には、高力長吉以外の者が鍛えた太刀も数口含まれます。
研ぎをかけず初刃のままですが、高長の奉納大太刀は全てこの形式で奉納されました。当時、江戸幕府が大太刀所持を禁じていたことと関わりがあると考えられています。
※参考文献
大明 敦「高力高長による太刀の奉納をめぐって」(『埼玉県立博物館紀要』23 1998年)
池田伸子「高力高長の太刀奉納について」(『埼玉県立博物館紀要』24 1999年)